千利休の師匠にあたる武野紹鷗(たけの じょうおう)が大阪の森の茂る土地に茶屋を建てました。それがきっかけとなり、その土地には茶屋や屋敷が立て続けに建設されました。しだいに豊臣秀吉をはじめとする権力者に愛されたことから「天下人」を由来とする『天下茶屋』という地名が普及したそうです。
今回紹介するのはその天下茶屋でなんと60年以上も愛される『くいや』さん。歴史と伝統のつまった昭和の風情ただよう名店は、唯一無二の美食体験をもたらしてくれました。
西天下茶屋駅 徒歩5分
想定予算¥5,000〜¥7,000
定休日:月曜日、営業時間:18:00〜
※すべて平時の情報です※

天下茶屋の下町焼肉

天下茶屋駅(西天下茶屋駅)から歩いて5分。公園で将棋をされているおじさま方の横を通りすぎると見えてきたのは絵に描いたような下町焼肉です。

もうすぐ90歳のお母さんが1人で切り盛りされているカウンター10席ほどのお店。昭和の下町の風情がそのまま残っている雰囲気に、下町焼肉好きの私のテンションは爆上がりしました…。


味のあるメニューを眺めながら「なにから攻めようかな」なんて考えていたら「和牛のタン、おいしいで」とお母さん。迷いなく注文して出てきたのがこちらです。
貫禄すら感じる極厚タン

¥1,800
見たことがないほど肉厚なタンが姿を表しました。

慎重に火を入れていくと。

あふれんばかりの肉汁が姿を表したところでプットイン。たまらなくうまいです。肉厚タンのジューシーな歯応えと甘みのある脂のシナジーが圧巻でした。

合わせてタレタンもどうぞ

¥1,000
右下に見える鮮やかピンク色のお肉がタレタンです。塩タンと同じくたまらなくウマイのでぜひ合わせて頂いちゃってください。
人間味を感じるハラミ

¥1,400
ところどころアブラが残っていたり、1枚1枚の大きさや切り方がバラバラだったりと、厳しい焼肉評論家みたいな人が指摘しそうな雑さが私は好きです。人間味を感じるといいますか。

そんなハラミです。タンと同じくあふれんばかりの肉汁と旨味を我慢して、頃合いがきたらいただいちゃってください。言うまでもなくうまいっす。最高なんです。
秀逸なお肉が盛りだくさん
ツラミ

¥1,000

キムチ

センマイ刺し

お値段
約6500円(1人当たり)
このクオリティでこの値段は圧巻だと感じます。同じレベルを東京で…となれば倍の値段では済まないのではないでしょうか。非常にリーズナブル。めちゃくちゃオススメです。


似ているお店
おいしい和牛を味わえるカウンター焼肉。
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おかあさんは戦前の昭和8年生まれ。20代前半のころから60年以上、同じ地で同じ味を提供されてきました。繁盛して手が回らなくなってくると、誰に言われたわけでもないお客さんが手伝い始める素敵な空間。私もビールサーバーを握るなど楽しい体験をさせていただきました。
あぁ、これからも愛され続けるだろうなぁ、と思っていたら「今年の年末で閉店やねん」とお母さん。10年ほど前、中国資本の会社に土地を買収されたそうです。来年からはご家族が経営している系列店で現役を続けるそうですが、この空間がなくなってしまうと思うとなんとも言えない気持ちになりました。
この世に二つとない美食体験も今年限り。ぜひみなさまにも味わってほしいです。
くいや (焼肉 / 西天下茶屋駅、天下茶屋駅、岸里駅)
夜総合点★★★★☆ 4.3
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