あたりまえだが、料理人は心の底から料理が好きで、料理を愛している。
総合職のサラリーマンみたいに、なんとなく周りと同じ道に進み、なんとなく料理人になる、なんて人はいないから。周りと違う道を進んだ結果、料理人になる。そんな人がほとんど。
なのに、食べ歩いていて「楽しそうに料理している人が少ない」ということを痛感する。人によって楽しいの定義は違うから、静かに見えて心の中は踊っている、なんて人はいるかもしれない。
それにしても、つらそうな表情を多く見かける。人手不足による過重労働、待遇の悪さ、人間関係など背景はいろいろだろう。臨まない環境にいることで、好きだった料理が嫌いになってしまっているのではないか。と思う。
そんな環境では、いくら料理の味が良くても、お客様の気分はよろしくない。イキイキとして表情で心の底から笑顔の料理人がいた方が、満足度は上がるに決まっている。
昔の日本が作った「お客様は神様」という風潮も一因だと思う。過剰な要求を呑み続けたことで、数十年の時を経て、提供する側の負担が大きくなってしまった。結果、提供される側の満足度が下がるという悪循環だ。
料理人というある種のクリエイターがこのままで良いはずがない。目の前の課題と真摯に向き合い、1つの仕事に心血を注ぐ素晴らしい人々に、心の底から笑顔で美味しい料理を提供して欲しい。
その手助けをするのが、経営者であり、メディアだ。これらがなす役割は、料理人が苦手としている分野でもある。
飲食店経営とは文字通り「経営」であり、料理が好きという熱意だけで成功するほど甘くない。
同時に、いくら美味しい料理を作っても、知ってもらえなければ意味がない。その役割を担うのがメディアだ。
経営に関しては素人だが、客として業界を横断的に見てきた経験がある。その経験をもとにお店の魅力を発信して、笑顔の料理人を増やしていきたい。
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