あるネット番組で気になる言葉が聞かれた。
「これは相当グルメじゃないと美味しさ分からないわ。僕にはまだ分からない」
都内人気店のシェフがトーク番組のスタジオにやってきて、数万円するコースをゲストに振る舞う。そんな一幕の中で出てきた言葉。
数年前の僕なら「何カッコ付けてんねんコイツ」としか思わなかったはずで、このブログを読んでいる人(居るのかどうかは別として)の大半も同感だろう。
しかし、この時わたしは「言いたいこと分かるわぁ~」と共感した。それなりに美味しいお店を食べ歩いてきた今、この感情に共感するのだ。
コドモの頃嫌いだった食べ物がオトナになるといつの間にか食べられるようになっている。そんな経験は誰でもある。これは味覚の「幅」が広がっているからだと思っている。
コドモには事前情報の少ない食べ物に対して根拠の無い恐怖心がある。それが、成長する過程で食材の良さを知ることで全く違った感情で食べられるようになる。だから、多くの人は嫌いな食べ物が少なくなっていく。
オトナ→コドモの過程に限った話ではない。同じオトナでも経験値によって味覚の幅は違うから20代と50代で「美味しい」の基準は違って当然。つまり味覚は経験値を重ねてレベルアップするのだ。
冒頭の話に戻る。発言したのは30代中盤のビジネスマンだ番組に出るのだから一般人より味覚の幅は広いはず。それでも「分からない美味しさ」があるという発言をした。
自分に置き換えて過去を振り返ってみると、評価が高いお店でも「ん~?」と思った時がけっこうあった。海外料理を提供するお店では特に多かった。
「舌に合わない」と言う解釈で終わらせていたが、おそらく、私の味覚の幅がカバーしきれていない領域なのだ。と今は思う。
だからこそ味覚の経験値をもっともっと積み重ねていきたい。できるだけ多くの「美味しい」を理解したい。そのために、これまで通り食べ歩き、たくさん発信していきたいと思う。
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